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「俺はローラが好きだ。愛している。だから、俺と結婚してほしい」
「……」
い、今。何を言われたのか。
好き? 結婚? 微かに耳を掠めていった言葉。
すぐには理解できなくて……
「ローラ?」
返事もできなくて固まってしまった私から身を離したレイ様。ゆっくりと交わる視線。
「あの……よく、聞こえなくて……」
きっと、聞き間違い。そんなこと、結婚って……
「もう一度言うから、よく聞いてて」
私は頷くと聞き逃してはいけないとレイ様をジッと見つめました。
「俺はローラ、君を愛している。俺と結婚してくれないか。俺の妃になった欲しいんだ」
私の手を取るとレイ様の顔が近づいてきて、指先にチュッと口づけを落とされました。冷たくなった指先がほんのりと熱を帯びます。
聞き間違えではなかったのね。
愛している。結婚。現実味のない言葉。
突然のプロポーズにどう返事をしたらいいのか。レイ様への思いと結婚はイコールなのか、軽々しく受けていいものなのか。瞬時に駆け巡る色々な思考。
私の返事を待つレイ様の不安そうに揺れる瞳から目を逸らして俯きました。
傷物令嬢……分不相応……
みっともない……
次々に浮かんでくるのは、ビビアン様の言葉の数々。
『レイニー殿下もお気の毒ね。ガーデンパーティーで知り合ったばかりに、こんな地味で冴えない令嬢の相手をしなければならないなんて。いい加減、うんざりしていらっしゃるのではないかしらねぇ』
『解放して差し上げたらいかがかしら』
わかっている。わかっているわ。自分のことなど痛いほどわかっている。
「返事を聞かせてほしい」
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