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「はあ……」
大きな溜息が飛び出します。今日は何回目かしら。
邸の研究室。今日の工程を終えて記録誌を閉じました。リッキー様の語学学習を終えた後、まっすぐに帰宅して研究室に直行して、仕事に没頭していました。
そうしなければ考えてしまうから。
「はあ……」
もう何度目かのため息の後
「まあ、大きな溜息ね。どうしたの?」
「お母様」
開いた扉から顔を覗かせていたのはお母様でした。気づかなかったわ。いつからいらっしゃったのかしら。
「休憩は取れそうかしら? 一緒にお茶でもどうかしらと思って、誘いに来たのよ」
「はい。大丈夫です。今日の分は終わりましたし、ちょうどお茶したいなって思っていたところでした」
「よかったわ。テラスでお茶しましょう」
お母様と連れ立って研究室を出ました。
「珍しいですね。こちらまで足を運ぶなんて、サリーに頼んでもよかったのに」
「そうね。たまにはいいでしょう。運動にもなるし、植物に元気ももらえるわ。ここの植物は生き生きしていて癒されるのよ」
「そうなのですか?」
「実はね。時々、ローレンツと一緒にここを散歩しているのよ」
「ええー。そうだったのですか?」
初めて聞きました。
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