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46 レイニーside③
「はあ……」
ふかふかのクッションを重ね置きしたソファに体を預けて俺は大きく嘆息した。
コンコン。
ドアをノックする音が聞こえた瞬間、ガバっと起き上がった。
もしかして……微かな希望に胸を膨らませて扉を凝視した。
やがて、扉が開いて、入ってきたのは、セバス。
違った。
もしやと期待した分落胆は大きい。俺はさらにソファに体を沈み込ませた。毎週この繰り返し。ローラが来なくなってからどのくらい経っているのか、よくわからない。すでに数えるのを放棄している。
「殿下。あからさまに落胆するのはおやめ下さい」
書類の束を抱えたセバスが鬱陶し気に声をかけた。
「どんな顔をしようと俺の勝手だ」
「そうかもしれませんが、部屋に入ったとたんにガッカリされると私とて傷つきます」
「それは、すまなかった」
言葉で言うほど傷ついてはいないだろうと態度でわかる。一応謝っておいた。
「お気持ちはわかりますが……」
だったら、黙っていてほしいとは思うが、声には出さなかった。すでにセバスの姿はなかったからだ。
「はあ」
何度目かわからない溜息が零れる。
前日までに仕事を終わらせて、ローラを迎えるのが日課になっていた。
今日だってそうだ。
リッキーの所には行っていると聞いていたから、もしやと思い迎えをよこしたのだが、結局は、待ち人来たらず。
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