46 レイニーside③

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「殿下、暇そうですね。ゆっくりなさるのもいいですが、仕事をなさってもいいのですよ。書類はたくさんありますから」 「いやだ」 「殿下……」   「今日の分は昨日仕上げてしまったし、休ませてくれ」  来るわけはないとは思っていても待ってしまう。もしかしたら、気が変わってこちらに来てくれかもしれないと、淡い期待を寄せて。  ローラの笑顔が見たい。ローラの声を聞きたい。ローラを抱きしめたい。  代わりにクッションを抱きしめてしまった。クッションはクッション。ローラのような温もりはない。ローラの甘い香りが懐かしい。  虚しさが胸に広がってさらに落ち込んでしまう。 「まあ、よいですが。それよりも見事にどんよりと曇っておりますなぁ」 「曇り?」  外? 雲が多い空ではあるけれど、どんよりとはしていない。雲間の陰から太陽も出ている。曇りとまではいかない天気だ。 「天気ではありませんよ。ここの空気のことです」  外を眺めていた俺にセバスがきっぱりと告げる。 「正確に言うと殿下の周りだけですが」 「ほっといてくれ」  珍しく絡んでくるセバスを一瞥するとソファに寝転んだ。  プロポーズを断られた日からぱったりと途絶えた宮への訪問。手紙のやり取りも謝罪と共にやんわりと断られてしまった。  そのため、ローラと接触する機会がなくなってしまった。  義姉上にもお願いしてみたのだが、今はそっとしておいた方がいいと言われてしまい、お手上げ状態だ。
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