47 揺れ動く気持ち

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「ああ、これからも研究を続けたいというのであれば、場所を移してはどうかと思ってな」 「場所を移す?」 「そうだ。広い土地に研究所を建てて研究員を雇うというのもどうだろう? 今まで一人でやってて来て成果もこれ以上ないくらい出している。これからは研究員と共に、さらに国の発展に寄与するというのはどうだろうか?」 「研究員?」  思いもかけない話が飛び出してきて目を丸くしました。  今までは一人で自分のペースで頑張ってきましたが、確かに一人ではすることが限られてしまいます。  学生だから無理のない範囲で続けてきましたが、卒業すればもっと効率の良いやり方に変えることが必要かもしれません。  もっと研究をするには施設の充実した整備が不可欠ですから、実現すればと胸が躍りますが。 「とても良い案だとは思いますが、それはどのように決めるのですか? お金もかかると思いますし、広い土地を探すのも、研究員を募集するのも大変ではありませんか? 私の力では何年もかかってしまうかもしれません」  土地の購入から研究棟などの建設、研究員の人件費なども考えると莫大な費用になります。  自分もいくらかの財産は持っていますが、それらを賄うだけの財力があるかというと否です。 「もう、フローラったら。何のために親がいると思っているの? わたくしたちがいるのだから、頼っていいのよ」
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