47 揺れ動く気持ち

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「まあ、結婚は無理にとは言わないよ。ゆっくりと考えればいい」 「わたくしもそう思うわ。好きな人と添い遂げる方が幸せだと思うもの。ねっ、あなた?」  お母様はお父様を見つめてにっこりと微笑みました。お父様も照れ隠しなのか、ゴホンと咳ばらいをしつつもなんだか嬉しそう。耳が赤くなっているような。両親の仲の良さを見ていると私まで幸せな気持ちになります。  レイ様とだったらこんな家庭が築けるのかしら?  また、ありえないことを考えてしまって、そんな邪な想像を打ち消しました。消しても消してもレイ様が頭から消えてくれない。  いつまでたっても、レイ様の事が忘れられない。どうすれば忘れられるのかしら。 「ずっと、独身でもいいのですか?」 「それで、フローラが幸せならいいと思うよ」  結婚を強制されなくてよかったとは思いますが、独身が幸せかというと疑問も残ります。でも、私の気持ちを尊重してくれている両親には感謝しかありません。 「ありがとうございます」  まだまだ結婚は私にはハードルが高いのかもしれません。憧れはあるのに一歩を踏み出せない。  相手がレイ様だからなおさら。きっと、断ってよかったのだと自分に納得させて、両親と研究所について話を続けました。
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