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「リッキー様? どちらへ? お部屋で遊ぶのではありませんか?」
「お散歩しよ。ダメ?」
後ろからはマロンを抱いたエイブに護衛騎士が二人。
「ダメではありませんが……」
部屋の中ばかりではマンネリ化しちゃいますものね。
同い年くらいの遊び相手がいらっしゃるとまた違うのでしょうけれど、そのようなお相手はまだいないと聞いているので、散歩が気晴らしなのでしょう。
手をつなぎリッキー様の思いのままついて行くと、やがて見覚えのある景色が目の前に広がっていきます。
通いなれた廊下。広い廊下に置かれた調度品。壁に飾ってある絵画が以前とは変わっていました。変化したものがわかるほど通っていた場所。
「リッキー様。ちょっとお待ちください。これより先は……」
立ち止まりかけて躊躇する私に
「だって、一緒に遊びたいんだもん」
拗ねたような顔を向けるリッキー様。
私達の事情は知らないでしょうから、無碍に断ることもできません。
元々、仲の良い叔父と甥ですもの。遊びに行くのは自然な事。
こちらの事情に幼いリッキー様を巻き込むわけにはいきませんものね。
大人の対応をすればよいだけ。
私がいなくても困らないでしょうし、宮まで同行して、すぐに引き返せばいいわ。顔は見ずに退散すれば何も問題はないでしょう。
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