3361人が本棚に入れています
本棚に追加
「では、クリスとジャックは厨房へ行ってください。それから、ダンとアルは……」
「俺達はマロンのお相手を」
と言いながらダンの手にはすでに猫じゃらし。アルはミニサイズのボールを持っています。ダンが猫じゃらしを左右に振るとマロンの目がキラッと光りました。
「ニャ、ニャン」
エイブの腕の中から飛び出すと一目散にダンのもとへ駆け出しました。猫じゃらしの後を追って動き回るマロン。ボールを持ったアルも待ち構えています。
「それでは、テーブルと椅子を準備しましょう。それと……」
セバスがテキパキと指示を飛ばしています。
何気に統制の取れた動き。何が起こっているのかわかりませんが、みんなが張り切っているのはなんとなくわかります。
「さあ、フローラ様、行きましょう」
呆気に取られていた私はやっと我に返りました。
「エルザ、私はここまでよ。リッキー様をお連れしただけ。だから、ごめんなさい」
「せっかくですから、ここでゆっくりなさってください。わたくしたちも待っておりましたから。少しの間だけでも、お願い致します」
頭を下げるエルザにこれ以上嫌だとは言えず困ってしまいます。
「ローラおねえちゃん。僕、ケーキを食べて、お利口にして待ってるからね」
トコトコとそばまで来たリッキー様の健気な姿を見ると断るのも大人げないような気がしてきました。
少しの間だけなら、レイ様のご迷惑にならないかしら。
最初のコメントを投稿しよう!