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「お気になさらずに。この透明感のある肌が損なわれず、回復されてよかったです」
「本当。きれいですよね。素肌の方が透明感があるなんて、羨ましい限りです。すっぴんのままでもいいくらいです」
お化粧を落として素肌をさらした私の顔を見つめて、ケイトとルーシーが見惚れています。自分では透明感の具合はわかりませんが、ディアナも同じことを言っていたような気がします。
「フローラ様って、ファンデを塗らない方が綺麗だと思うんですよね。あとは眉と口紅くらいで十分だと思っていたのですけど」
そんなことを言いながら、ケイトが化粧水をのせています。
それは、さすがに無謀では?
ただでさえ地味な顔立ちなのに、お化粧がなくてはさらに地味になってしまうと思うのですが。
「わたしもそう思う。ファンデで透明感がなくなってしまうのは惜しいわ。まっさらの方がお綺麗なのに」
綺麗って、ルーシーまで、何を言い出すのでしょう。二人共目が悪いのかしら? 眼鏡が必要ではないかしら。
「あなたたち、いい加減しなさい。そんなことをして、大変なことになったらどうしますか? わたくしは責任は取れませんよ。それに、このことは一人だけ知っていればよいことでしょう」
「そうでしたね。余計な心労をかけてはいけませんものね」
エルザが諭してくれましたが、少々、府に落ちないことがありました。一人だけってどういう意味なのでしょう。
意味が理解できなかった私は首を傾げましたが、二人はエルザの意見に納得した様子。
聞いてみた方がいいのか迷いましたが、これ以上、時間を取られるのはよくないと思い断念しました。
それからは気を取り直したケイトとルーシーが素早くお化粧を施してくれました。
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