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ドレスを着替えて部屋に案内されるとテーブルでケーキを食べているリッキー様が目に入りました。
大好きなメロンがのったケーキはあと少し。
「リッキー。口にクリームがついてる」
レイ様がナプキンでリッキー様の口を拭いてあげています。ほんわかと心が温まる光景に頬が緩みました。
「あっ。ローラおねえちゃん」
リッキー様は私の前まで来ると
「きれーい」
ためらいもなく褒めてくださいました。
幼くても王子様。人を喜ばせる術を知っていらっしゃるのでしょう。
「ありがとうございます」
額面通りに受け取ったりはしませんが、侍女達が一生懸命着付けてくれたドレスとメイク。彼女達が褒められているようで嬉しくなりました。
「ねえ。レイおにいちゃん。見てー。おねえちゃんきれいだよ」
手を引きレイ様の元へと連れて行かれました。
西の宮まで来たのだもの。彼に会わないわけにはいかない。
グイグイと引っ張られる勢いのまま部屋の中に入っていくと、あっという間にレイ様の前。
椅子に座ったままのレイ様を見下ろす格好になってしまい、気まずくて俯きました。
久しぶりに会うレイ様は、相変わらず見目麗しくて美形な王子様。
ドキドキと心臓が脈打ち落ち着かない気持ちで、挨拶をしなくてはいけないのに、それすらも憚れて声が出ませんでした。
「レイおにいちゃん。きれいでしょう」
心の中であたふたしている私の気持ちを知らないリッキー様は、自分の事のように褒めてくださいます。
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