3362人が本棚に入れています
本棚に追加
「これからもローラって呼ばせてくれる?」
力が入った手にそっと触れたレイ様の手。
「……はい」
これ以上は抗えませんでした。
「俺のことはこれまで通りでいいから。これで、おあいこだね。さあ、おいで」
レイ様の温もりに力が抜けて、触れたところから熱が灯っていくよう。用意された椅子に座るとレイ様が微笑んでいました。
「おかわり」
リッキー様の元気な声が聞こえてきました。
「畏まりました。どうぞ、殿下」
空になった皿を手早く片付けたルーシーの後にケイトがケーキの乗った皿を差し出しました。
「リッキー様。もう、お腹いっぱいでは? あちらでもおやつ召し上がりましたよね?」
「だって、お腹すいてるもん」
目をキラキラさせながら、二つ目のメロンのショートケーキを食べ始めました。
今日の東の宮でのおやつはミルクとクッキー。
夕食も控えているとなると妥当な量だったと思うので、ここでケーキを二個も平らげると夕食は入らないのではないかしら。
「おやつ目当てで遊びに来ているもんだからな。咎める者もいないし」
そういってセバス達側近に視線を移すレイ様。
セバス達は目を合わせないように、顔をあらぬ方向に向けて聞かないふりをしています。その通りなのでしょう。少々、バツが悪そうな顔をしていました。
「レイ様もですか?」
先ほどの言い方からするとレイ様も例外ではないのでしょう。
場の雰囲気を壊さないように、思い切って聞いてみました。緊張してぎこちなさはあるけれど。
最初のコメントを投稿しよう!