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「マロン、もう大丈夫よ。鯉は川に戻ったわ。だから、下りておいで」
「ニャーン」
甘えた声で鳴いたかと思うとやっと地に下りてきました。そして、先程の騒ぎはどこ吹く風でさっそく散策を始めました。
リッキー様を真ん中に挟んで手をつないで歩いていきます。
川の生き物たちに興味をそそられ、花の匂いを嗅いだり、名前を教えたりとリッキー様のおしゃべりにつきあいました。
最初はぎこちなかった空気もリッキー様のおかげで緩和されて、話がスムーズにできるようになりました。静穏な雰囲気に浸っている時でした。
「レイおにいちゃん。僕のこと好き?」
何を思ったのか、リッキー様の唐突の問いかけに足が止まりました。レイ様を見上げ首を傾げて答えを待つリッキー様。
一瞬、目を瞬かせて驚いた様子のレイ様でしたが
「好きに決まってるだろう。愛してるぞ」
おどけた顔でリッキー様の頭をわしゃわしゃと撫で回しました。
「うん。僕もレイおにいちゃん大好きー。ねっ、ローラおねえちゃんは僕のこと好き?」
「はい。大好きですよ」
レイ様に倣って私も答えました。
「うん、僕もローラおねえちゃんのこと大好き―」
満面の笑顔を向けたリッキー様が愛らしくて、私も笑顔になります。無邪気な愛情表現がなんとも微笑ましくて、それに、子供がいるだけでハッピーオーラが溢れて幸せな気持ちにさせてくれます。
子供って、時には突拍子のないことを言って驚かせますものね。そんな類かと思い聞き流して、また三人で歩き始めました。
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