47 揺れ動く気持ち

21/26
前へ
/774ページ
次へ
 しばらくすると、リッキー様が口を開きます。  「ねえ、ねえ。レイおにいちゃん。レイおにいちゃんは、ローラおねえちゃんのこと、好き?」  瞬間、呼吸が止まりました。  何を言い出すのか、リッキー様の無邪気すぎる天真爛漫な笑顔と問いかけに、全身を緊張が襲いました。 「大好きだよ。愛している」  口元を綻ばせ真剣な瞳で愛しさを滲ませて答えるレイ様に、どくんと大きく胸が高鳴りました。顔が赤く染まっているのが自分でもわかります。 「ローラおねえちゃん。よかったね。ねっ、ローラおねえちゃんも、レイおにいちゃんのこと、好き?」  やっぱり……  たぶん聞かれるだろうなと話の流れから予想はついていましたが、どう答えればいいのでしょう?    返答に困って俯き、黙っていると 「ローラおねえちゃん、どうしたの? レイおにいちゃんのこと、嫌いなの?」  顔を覗き込むリッキー様の邪気のない表情に 「いえ、そういうわけでは……」  目を泳がせて口ごもりました。  今、レイ様はどんな表情をしているのでしょう? 想像するのも怖くて顔を上げられませんでした。  子供の言うこと。深い意味はないのかもしれません。  いつまでも口を閉ざしていてはお二人にも悪い気がしてきます。  好きにも色々あるわ。  男女の愛情だけではないわ。自分に言い聞かせました。
/774ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3362人が本棚に入れています
本棚に追加