47 揺れ動く気持ち

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 そうよ。  こんなことをしている場合ではないわ。  正気に返った私はリッキー様の後を追うことにしました。彼についてきたのだもの。いつまでもレイ様の元にいるわけにはいかないわ。 「レイ様、私も帰ります。長々お邪魔してしまい申し訳ありませんでした」  礼をして帰ろうとすると呼び止められました。 「ローラ、もうしばらく、ここにいてほしいんだ」 「でも、リッキー様もいらっしゃいませんし、私の役目も終わったと思うのですが」  招待されたわけではなく、勝手に連れられてきたようなもの。とどまる理由もありません。それに、さっきの出来事もあって、早くこの場を離れたい気持ちもあります。 「本……図書室に新しい本が入ったから見てみない? リッキーにも役に立ちそうなのがあるかもしれないから。よければ、教材に使ってほしいんだ」 「図書室……」  リッキー様のため? 教材を探していたことを覚えて下さっていたのかしら? 良いものがあれば使わせていただけるのは嬉しいけれど。レイ様を頼っていいの? 甘えていいの?  「ローラ、そんなに難しく考えなくていいと思うよ。リッキーのために本を選びに行く。それでいいんじゃないかな」  「レイ様」  難しくって、ややこしく考えすぎなのかしら。  迷って困っていたけれど、レイ様は割り切っていらっしゃるようにも見えました。あくまでも仕事の内だと。教材を提供するために案内するのだと。 「わかりました。よろしくお願いします」  義務的な物言いに寂しさも感じたけれど、けじめはつけないといけませんものね。  何にも知らなかったあの頃に帰りたいと思ってしまいました。何のためらいもなく手を委ね、体を委ねられたあの頃に……
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