47 揺れ動く気持ち

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♢♢♢♢♢♢   「使えそうな本があったら、テーブルの上に置いておいて。届けておくから」  図書室に入るとそう言ったレイ様は、私から離れて窓際のソファに腰かけると本を開いていました。すでに読みかけの本があったのでしょう。栞がローテーブルの上に置いてありました。  本来の目的はリッキー様に適した本を探すこと。  レイ様がそばにいないことにガッカリしている場合ではないわ。私は気持ちを切り替えて本を探すことにしました。  絵本や児童書のコーナーには、たくさんの本が並んでいました。  以前よりもかなり増えています。言葉を覚えるのに役立つ本があればと話したことがあるので、レイ様が取り寄せて下さったのでしょう。  取り出してペラペラとめくりながら、良さそうなものを何冊か多めに抜き出しました。  椅子に腰かけてリッキー様の興味を引きそうなものをと思って内容を確認していきます。何冊もの本に目を通している間、レイ様はずっと本を読んでいました。  レースのカーテン越しに差し込んでくる陽の光で横顔が縁どられ淡く光っているよう。神聖な宗教画を見ているかのような神々しさにしばらく目が離せませんでした。
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