47 揺れ動く気持ち

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 閉じた瞳には長いまつ毛。スッとした鼻梁。弧を描いた艶のある唇。精巧なお人形のように整った容姿は寝顔も美しい。  起こすことを諦めてしばし見惚れてしまいました。  頬にかかった髪の毛をもとに戻そうとそっと触れると、頬の滑らかな感触に心が震えドキドキしてきました。  今日に限って人払いされたのか誰もいない室内。  今だけ……  起きる気配のないレイ様に、魔が差したのかもしれません。  呼んでも聞こえるのは規則正しい呼吸だけ。  震える手で頬に触れる。  いけないことをしているのはわかっているのに、止められなくて。 『大好きだよ。愛している』   先ほどのレイ様の言葉が甦りました。  真剣で熱を孕んだ瞳が忘れられなくて、伝えられずにはいられませんでした。  今だからこそ言える。自分の本当の気持ちを……熟睡している彼はきっと知らない。だから、今だけ。私の気持ちをのせて。 「レイ様が好き。大好き」  レイ様の寝顔を見つめながら、そして、吸い寄せられるようにレイ様に口づけました。重ねた唇はほんの刹那。シトラスの香りが鼻を掠めていきました。  大それたことをしてしまったと気づいた時には、唇を重ねたあと。  柔らかな感触がいつまでも私の唇に残っていました。  
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