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色々と策を思いついて悦に入っていると、
「今日はお一人で?」
いつも友人達と一緒だから、不思議に思ったのかディアナが聞いてくる。
「ええ、たまには一人でゆっくりとしたいと思って、サロンに足を運びましたの」
これからのことを考えるにしても、どこか席を見つけて腰を落ちつけるか、帰るか、どうしようかしら。
今帰っても、お母様に捕まるだけよね。それは避けたいわ。そうするとサロンの方がいいわよね。
「ビビアン様。ちょっと、小耳にはさんだのですけれど、良い縁談が来ているそうですわね」
キョロキョロと席を探しているとディアナの口から飛び出した言葉に、大きく目を見開いた。
「良い縁談? 何のことかしら?」
「あら、わたしの聞き違いだったのかしら? ある侯爵家の令息との縁談ですわ。相手の侯爵家も名門で令息も将来有望な騎士だとか。両家とも、とても乗り気だそうですわね? よかったですわね。結婚は祝福されてこそですもの」
「どこからそんなことを聞きましたの?」
いやに具体的。
家名を言わなくても特定できるわ。もうみんなに知れ渡っているの?
婚約を結んでもいないのに、噂が先行するなんて。
「さあ、どこでだったかしら? 先ほども言ったように小耳にはさんだだけですわ。でも、噂は本当だったようですわね」
ディアナは扇子で口元を隠すと目を細めた。
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