3364人が本棚に入れています
本棚に追加
しまったわ。
少し、ムキになってしまった。ここは濁しておかなければいけないところだったのに。自分が乗り気ならよいけれど、意に染まぬ結婚を強いられている身では伏せておきたい案件。
これがレイニー殿下の耳に入れば、ますます結婚は遠のいてしまう。
「噂は噂ですわ。あまり鵜呑みにしない方がよろしいわ。縁談なんて降るようにありますの。その一つですわね、きっと。わたくしには誰なのか皆目見当がつきませんけれど」
あくまでもわたくしは関与していない。このことを強調しておかなくては。
「そうでしたの? わたしもお似合いだと思いますわよ。令息は美丈夫な方で人気も高いですし、腕も立つと評判ですわ。ビビアン様にぴったりだと思います。わたしも応援しますわよ」
三男との縁談を応援だなんて何を考えているのかしら? まさか、レイニー殿下とフローラとの縁談を後押しするために?
「ディアナの応援は有難いけれど、それは勇み足だというものですわ。わたくしの縁談よりもフローラ様の縁談を心配して差し上げたらいかがかしらね」
「フローラのことは心配なさらなくても大丈夫ですわ。彼女は才能の塊ですからね。いろんな生きる道がありますわ」
「そうでしたわね。フローラ様、余計な事でしたわね。傷物令嬢ともなると結婚を諦めて、別の生きる道も考えなくてはならないなんて、大変ですわね」
最初のコメントを投稿しよう!