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ビリビリと力任せに紙を破る。何度も引き裂いた紙は空を舞って机の上に散らばる。
「何なのよ。どれだけバカにすれば気が済むのよ」
また目に入った教科書を手に取ると思い切り引き裂く。
「悔しい、悔しい」
ビリと大きく裂かれた紙をさらに破いていく。こんなことをしても屈辱が消えるわけではない。
あれから、逃げるように邸に帰ってきた。
案の定、待ち構えていたお母様に疲れているからと告げて部屋に籠った。腹の虫がおさまらないわたくしは、鞄を机に投げつけると教科書が飛び出してしまった。
むしゃくしゃする。何かに当たらずにはいられない。いらいらとした気持ちを抱えてどうしようもなく、目の前にあった教科書に八つ当たりをした。何度も何度も破いていくと小さな紙片になっていった。
「なぜ、わたくしが惨めな思いをしないといけないのよ。フローラがレイニー殿下でわたくしが三男って、どんな冗談なのかしら。もしかしてわたくしは夢を見ているのかしら」
ビリビリ、ビリビリ。引き裂く指に力が入る。立派に装丁された教科書を破るために渾身の力を込める。
「フローラのどこが高嶺の花なのよ。あんたは雑草よって言ってやればよかったわ。身の程知らずな。地味令嬢のくせに」
細かくなった紙片が机に溜まっていく。紙片をかき集め上へ放り投げる。宙を舞った紙片は床に散らばった。
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