3366人が本棚に入れています
本棚に追加
「お嬢様。わたしはお嬢様の味方ですからね。お二人の恋を応援します」
エマの心強い言葉にウルっときてしまった。
味方。わたくしにはないもの。持っていないもの。欲しかったもの。それをメイドのエマがくれた。
「ありがとう。あなただけよ。わたくしの味方はあなたしかいないわ」
髪を結い上げてくれたエマの手を握る。
「そんな……使用人のわたしに頭を下げる必要なんてありませんのに。これからもずっとおそばに置いてくださいませ。お嬢様のお役に立てるように誠心誠意お仕えいたします」
エマは涙声で誓ってくれた。
「もちろんよ。ずっとそばにいてちょうだい」
契りを交わすようにエマを抱きしめる。
両親も当てにはできない今、心のよりどころはエマだけだった。
わたくしの夢物語を聞いてくれる。信じてくれる。たった、一人の人だった。
わたくしたちは二人でいる時は夢の住人。
わたくしはひたひたと近づく現実に怯えながらも夢の物語を紡いでいった。
この夢物語もいつかは終わる。
いったいどんな結末を迎えるのか……わたくしはまだ知らない。
最初のコメントを投稿しよう!