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「ビビアン? どうかしら」
「断ったら、どうなるのです?」
「……そなたの理想の結婚条件を満たす令息を見つけるのは、難しいかもしれない」
お父様の言う通りなら、婚期を逃すかもしれないということ?
崖っぷちに立たされている。
格下の侯爵家への結婚だけでも許しがたいのに、三男なんて爵位もないじゃないの。そんなところへ嫁がせようなんて親の気が知れない。
それとも公爵家に何かメリットでもあるのかしら。たとえ利があったとしても、意に添わぬ結婚であることには変わりはないわ。
どんなに嫌でも返事をしたからには、このまま話は進んでいくのでしょう。
レイニー殿下と結ばれなければ、この先、誰と結婚しても同じこと。わたくしは腹をくくった。
「お父様の良いように。それが公爵家のためであれば、わたくしは従います」
決して自分の意志ではないことを示した。わたくしの精一杯の抵抗だった。
「そうか。承諾してくれるか」
二人は見る間に安堵の表情へと変わった。内心はハラハラしていたのかもしれない。
「はい」
渋々ではあったけれど返事をするより他はなかった。
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