49 波乱のあとで

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「何か知っているの?」  レイ様のプロポーズのことは両親にはもちろんの事、ディアナにも誰にも話していません。それなのに事情を知っていそうなディアナ。   「知らないわよ。でも、あなたたち二人を見ていれば、なんとなく予想は出来るわ。進展していそうで進展していない状況がね」 「……」  全て見透かされていそうな気配に彼女をまっすぐ見ることが出来ずに俯いてしまいました。  こうなったら正直に話してしまった方がいいのかしら? 助言をもらった方が解決するかしら?  自分の気持ちに折り合いをつけるのは難しくて、完全に断ち切ることが出来ない。かといって、レイ様の思いを受け止めることも出来なくて……ゆらゆらと自分の心が揺れている。 「フローラ。躊躇う必要はないと思うわよ。あなたに必要なのは自信よ。自信を持つこと。それが何より必要な事ではないかしらね」 「自信……」  たぶん、これが一番ないものなのかもしれないわ。  取り柄と言えば研究が好きなことくらいで、見た目は地味で冴えない平凡な容姿。ビビアン様のような華やかな容姿やスタイルを持っているわけでもない。おまけに婚約者に見向きもされず婚約解消された傷物令嬢。  どこに自信を持つ要素があるのか分からないわ。
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