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「今現在の状況を知りたいと思って。予想はついているけれど、予想は予想だもの。本人から話を聞くのが一番いいと思ったのよ。それで、どうなってるの?」
「どうなってるのって、言われても……」
予想もしていなかった質問にドギマギしてしまって答えに窮してしまいました。
「告白はされたの? プロポーズはされたの?」
矢継ぎ早に聞かれて思考が追いつかないわ。
ディアナの瞳が爛々と輝いているように見えるのは気のせいではないわよね。
今まで具体的なことは聞かれたことがなかったし、私もレイ様とのあれこれは話したことはなかったわ。人に話すような内容でもなかったから。
思い返せば、顔から火が出るほど恥ずかしい数々が掘り起こされそうで怖いわ。
「どう、答えればいいの?」
「どうって、ありのままを答えればいいと思うわよ」
「それは……そうかもしれないけれど」
どうすればいいのでしょう? ディアナに事の次第を話してもかまわないのかしら?
ディアナを見れば答えを待つ姿勢で悠然と構えてこちらを見ています。
適当に誤魔化して帰るわけにもいかないでしょうし、彼女に対してそんなことはできるはずもありません。事実を話すだけなのに、なんと勇気のいることなのか。
ごくりとつばを飲み込みました。
レイ様は第三王子。ディアナは王家に近しい令嬢だもの、厳しい目を持っているに違いないわ。
もしかしたら、私の判断に的確な答えを出してくれるかもしれない。
「きちんと話すわ」
私は紅茶で喉を潤して姿勢を正すと話しを始めました。できるだけゆっくりとわかりやすく切実な気持ちが伝わるように。
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