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「ねえ、フローラ。真面目な話だけれど、あなたはレイニーのことをどう思っているの? 聞かせてほしいわ」
ディアナの言う通り、真面目で真剣な眼差しが目の前にあります。からかうこともなく面白がることもなく、正面で見据えられた姿に空気が張り詰めたような感じがしました。
少しの間、言葉に詰まりました。
自分の気持ちを打ち明けていいのかどうか。すでにプロポーズはお断りしている時点で、自分の気持ちは必要なのだろうかと迷います。
レイ様の情愛のこもった熱い眼差しを思い出して切なくなりました。
今も吹っ切れていないこの気持ちを口に出していいのか。都合のいい夢を見てレイ様に甘えている自分が情けなくて。
「フローラ。本当の気持ちを正直に教えてくれないかしら?」
懇願の入り混じった声音が心を揺さぶります。
ここまで話しておいて肝心なことは話していなかった。レイ様の事は話したのに私の気持ちは秘密なんてフェアではないわよね。
「えーと、あの……」
なかなか言い出せなくてもじもじする私をせかすことなく、黙して待っていました。
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