49 波乱のあとで

9/47
前へ
/774ページ
次へ
「好き、よ」  絞り出すように告白した私にディアナの表情が緩んで安堵の溜息が漏れました。喜々とした表情で微笑む彼女の様子にまたもや恥ずかしさがこみ上げてきました。  同時に自分の心に秘めていた気持ちを打ち明けて、胸の内が軽くなったような気もします。それぞれの感情が混在する心中はさておいて、ディアナが難しい顔をしはじめました。    何か問題でもあるのかしら? もしかして私の抱く思いは分不相応だったのかしら? レイ様の事が好きなんて烏滸がましいことだったのかもしれない。黙ったまま片頬に手を置いて思案するディアナに不安な気持ちが押し寄せてきます。 「ねえ、ちょっと、聞いてもいいかしら?」 「ええ」 「今まで聞いたことをまとめるわね。まず、レイニーはフローラの事が好きでプロポーズをした。フローラもレイニーの事が好き。ここまでは合っているわよね?」 「うん。そうね」  改めて聞かれるとなんとも面映ゆくなってしまって、顔が一気に赤くなったわ。ちょっと、熱で汗も出てきたよう。私は扇子で顔を扇ぎました。涼しい風が火照った顔を静めてくれます。  今日は放課後に課題を仕上げにサロンに寄っただけなのに、どうしてこんなことになっているのでしょう。プロポーズの話に発展するなんて思ってもいなかったわ。
/774ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3365人が本棚に入れています
本棚に追加