49 波乱のあとで

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「相応しくないと思っているところを具体的に聞いてもいいかしら?」  詳しく聞きたがるディアナ。  胸の内を話すのはつらいけれど、拒否する気にはなれずに訥々と答えました。容姿や性格や傷物だからとずっと言われてきたことを話すとまた涙が零れ落ちて、その度にハンカチで涙を拭いてくれました。  やっと、話し終える頃には気持ちも落ち着いて涙も乾いていました。 「ごめんなさい。ディアナ、迷惑をかけてしまったわ」  泣くつもりはなかったのに、そのせいで気を使わせてしまって申し訳なかったわ。 「わたしのほうこそ、辛いことを話させてしまって悪かったわ。フローラ、ごめんなさいね」  私はフルフルと頭を振りました。  辛かったけれど外に吐き出したことで心が少し軽くなったような気がします。重荷が軽荷になったくらい。 「フローラが一番気がかりなのはビビアン様の事よね?」  名前が出た途端、ビクッと体が震えました。先ほども憎々し気に睨まれて体が硬直してしまったこと思い出して、恐怖に鳥肌が立ちました。  私の尋常ならざる様子に気づいてくれたのか私の肩を抱きしめてくれました。 「大丈夫よ。さっき言ったでしょう? 彼女にはロジアム侯爵家から縁談が来ているの。両家とも乗り気なのも本当のことよ。近いうちに婚約が成立すると思うわ。だから、心配しなくてもいいのよ」 「……でも、レイ様に相応しいのは、自分だとおっしゃっていたわ」  あの雨の日に執拗なくらいにレイ様に固執していらしたから、彼との縁談があってもおかしくないと思っていました。
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