49 波乱のあとで

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  ♢♢♢♢♢♢  芝生が敷き詰められた広い庭園。  青々とした芝は刈り取られ綺麗に整えられています。所々にこんもりと盛り上がった小山と樹木が植栽されています。  全体的に見晴らしの良い庭園はブランコや滑り台にハンモックなどが設置されている。東の宮の庭園は子供の遊び場所に特化した仕様になっているようです。  語学学習が終わったあと庭園へと移動してお茶を頂いているところです。 「母上ー。ローラおねえちゃーん」  滑り台の上で手を振って、名前を呼ぶ大きな声が聞こえました。  アンジェラ様と私はリッキー様に手を振り返して、滑り台から繰り返し滑り降りる姿を木陰から眺めていました。  時折、エイブも後ろにつき一緒に滑らされている様子に目を細めます。  リッキー様の笑い声が庭園に響き渡って穏やかで和やかな光景に心が安らぎます。 「子供って元気ねえ。特に男の子なんてじっとしていないものね」  手を振りつつ、リッキー様に無茶なことはしないようにと注意をするアンジェラ様。エイブもあちらこちらと走り回る子供の相手は大変そうです。半面、楽しそうにも見えますが。 「そうですね。でも、健康な証拠ですから」 「そうね。男の子だし、ちょっとやんちゃな方がよいのかもしれないわね」  そう言ってリッキー様を愛おし気に見つめるアンジェラ様は、母親の顔をしていました。
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