49 波乱のあとで

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「のどが渇いたー」  ひとしきり遊んだリッキー様がアンジェラ様に抱きつきます。 「まあ、まあ。汗びっしょり。まずは汗を拭きましょう」  汗で金髪が額に張り付いていて頬も紅潮して夢中で遊んだ様子が窺えます。  アンジェラ様がタオルで顔や首を拭ったあと飲み物が出されると、椅子にちょこんと座ったリッキー様はレモン水を飲み始めました。  さわさわと擦れた木の葉の影が頭上でゆれています。  リッキー様の乾いた髪が風になびいているのを眺めながら、穏やかなひと時は今のわたしにとって至福の時間です。 「ごくごく」  二杯目のお代わりをして、喉を鳴らしてレモン水を飲むリッキー様。あれだけ汗だくで遊べば喉も乾くでしょう。  飲み終えるとコップを置いて肩で息をつきました。やっと人心地ついたのでしょう。 「楽しかった?」 「うん」  アンジェラ様に満面な笑みを向けて頷くリッキー様。  学習が終わったあと、アンジェラ様とお茶会をするのが恒例になってきつつある今日この頃。  リッキー様が外で遊びたいとのことだったので、今日は庭園でのお茶会となりました。  これだけ運動すれば、すぐに眠たくなるのではないかしら。  また気まぐれにレイ様の宮へと連れていかれるのではないかとヒヤヒヤしていたのですが、ここ二回ほどはお昼寝の時間だったので、それも杞憂に終わっています。
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