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「母上は、ぼくのこと好き?」
唐突に、それこそ唐突に、リッキー様がアンジェラ様に聞きました。
カップを持っていたアンジェラ様の手が揺れました。紅茶を零さずに留めた所作は見事です。
見上げるリッキー様の顔を見つめて
「大好きよ。愛しているわ」
ニコッと微笑んだアンジェラ様。
「ぼくも母上のこと、大好きー」
満足そうに満面の笑顔で答えるリッキー様。
あの日と同じ問答が繰り返されるなんて、実は親子の儀式みたいなものだったのかしら? もしかして、おなじみのやり取りとかなのかしら?
同じ場面が繰り広げられる光景に半ば他人事のように感じていると
「あのね。レイおにいちゃんはローラおねえちゃんのことが大好きなんだって。愛してるって、言ってたよ」
突然放たれた爆弾発言にガタッと椅子から落ちそうになりました。
ど、動揺が半端ではなく、心拍数も一気に上がって動悸は激しくなるし、どうしたらよいのかプチパニックです。
「ね? ローラおねえちゃん」
ねって……天真爛漫な天使の微笑みを向けられても、答えようがありません。熱が駆け巡って、全身が真っ赤に染まっていきました。
どうして、ここで? そんなことを?
大人だったら怒ることも出来るのでしょうが、子供相手ではそんなことも出来ません。
「あの、リッキー様。そのお話はなさらないようにしてくださいね」
注意するだけで精一杯なのですが、本人は意味が分からないのかキョトンとしています。
アンジェラ様は口を押えてキラキラなびっくり眼で私を見ていらっしゃるし、どうしましょう。
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