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「ふふ、照れなくてもいいのよ。それよりも、早く二人の吉報を聞きたいわ」
「……」
グイグイとくるアンジェラ様に治まった熱がまたぶり返してきました。
先日、ディアナに話したばかり。吉報と言われて意味が分からないほど鈍くはないと思うのですが、今は何とも言えません。
まだ、待っていてくださっているのか確かめる術はなくて、不透明なままです。気持ちがなくなったと言われたらと思うと怖くて、何もできないままなのです。
「アンジェラ様は、どう思っていらっしゃるのですか?」
「どう思うって? 今か今かと吉報を待っているところよ」
「私でよいのですか?」
あっけらかんと言われて弾くように顔を上げると思わず聞いてしまいました。
「ええ。フローラちゃん、あなたがいいわ。でも、それを決めるのはレイニーよね。彼があなたを選んだのでしょう? わたくしは賛成よ」
にこやかに微笑むアンジェラ様の言葉は有難かったのですが、不安な思いは拭えずに自分の気持ちを吐露しました。
「フローラちゃんはいろいろ不安で迷っているのね」
話し終えたあと、考え込むようにつぶやいたアンジェラ様にこくりと頷きました。
「わたくしもね、色々と悩んだ時期があったのよ。学生の頃だけれども。殿下とわたくしは同級生で、王太子殿下が在学するとあって、学園全体が浮足立っていたみたいでね」
そういってその頃の話を語って下さいました。
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