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「しばらく、ここで療養するといいよ」
「治療もして頂いた上にそこまで甘えてはいけないと思うのですが」
ひとしきりレイ様の胸で泣いてしまった私。
気持ちが落ち着いた頃、連れてこられたのは初めて見る部屋でした。
衣裳部屋を兼ねたドレッサー用の部屋を用意して頂いていましたが、ここはその部屋とは比べ物にならない豪華な造りでした。
百合の透かし模様の生成りの壁紙は上質。最高級のマホガニーの家具、テーブルや椅子、照明などインテリアも技術の粋を極めた上品で豪奢なものばかり。
その中でも一番目を引くのは天蓋付きのベッドです。
キングサイズの広さに典麗な彫りには鮮やかな色彩が施されて、幾重にもレースが重なりエレガントで幻想的な雰囲気を醸し出していました。
私は今、その天蓋付きベッドの上。
なぜここに?
ふかふかで寝心地もよさそうなのですが、レイ様の宮に泊まるわけにはいきませんし、療養も自邸で十分だと思うのです。
邸に連れ帰ってくれると思っていたら、着いた先は西の宮。
まさか、ダンがそんな大胆なことをするとは思っていなかったので、すっかり騙された気分です。
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