49 波乱のあとで

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 アンジェラ様が退出されると室内が静かになりました。  今の私は、ベッドに体を起こしてクッションに背を預けている格好。  何がどうということは無いのですが、レイ様と二人きりというのも気恥ずかしくて言葉少なになってしまい、どこに視線を持っていけばいいのか迷ってしまいます。  部屋着も普段のものよりも薄手ですし、お化粧もほとんどしていなくてすっぴんに近い状態。痛み止めが効いてきたのか痛みもだいぶ薄れてきたよう。 「義姉上も意外と熱血漢だったんだな。あんなに怒っているのは初めて見たよ」 「そうなのですね。確かに、嫋やかなアンジェラにあんな激しい一面がおありだったとは思いませんでした」  数時間前にレイ様の事で励ましてもらったばかり。いつも朗らかで優しくて、心細やかに気遣ってくださる姿からは想像もできません。 「義姉上の気持ちもわかるよ。今回の事件は由々しき事態。俺も徹底的に調査をして欲しいと思っているから、義姉上が積極的になってくれるのは有難い」 「レイ様」 「ローラの事は俺が守るからね。だから、ここで何も考えず治療に専念してほしいんだ」  ベッドに腰かけたレイ様は私の手を取るとまっすぐな眼差しを向けました。真摯でいて情愛のこもった瞳にキュッと胸が切なくなり締めつけられます。 「守って下さるのですか?」 「うん。ローラが許してくれるのなら一生。生涯をかけて」
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