49 波乱のあとで

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 それほど意味があって聞き返したわけではなかったのに、返ってきたのは思いもかけなかった重い言葉でした。    こんな時にどんな風に答えればいいのか戸惑いながらも、レイ様の気持ちが嬉しくて。今でも私の事が心にあるのだと思えるのが嬉しくて。  涙腺にうるっときてしまいました。 「レイ様。ありがとうございます」  そういうのがやっと。けれども、その先に進まないと始まらない。  私は何も伝えていないもの。本当の気持ちも何もかも。 「それは、許してもらったって、受け取ってもいいのかな?」  レイ様の手に力がこもって、より一層包み込まれた両手。温かなレイ様の体温が体の中に染み渡っていくような多幸感に胸がいっぱいになりました。  今しか、ないかも。今だったら、言えるかも。私の本当の思いをレイ様に。  息を整えて一大決心をして口を開きました。 「はい。私はレイ様が……」  コンコン。  自分にとって、一世一代の告白をしようと思った矢先に聞こえた扉の音。肝心な言葉は、喉の奥に消えてしまいました。  甘やかな雰囲気が一転して、顔を見合わせた二人の間になんとも言えない空気が漂います。 「レイニー殿下。フローラ様。王妃陛下がお越しでございます。それから、ブルーバーグ侯爵夫妻もご一緒ですが、いかがなさいますか?」  二人の時間の終わりを告げるセバスの声に、溜息を一つ小さくついたレイ様はベッドから下りて立ち上がりました。 「……わかった。通してくれ」  レイ様の返事を合図に扉が開いて、ローズ様と後ろに両親の姿が見えました。 
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