49 波乱のあとで

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「フローラちゃん。無事でよかったわ」  私の姿を見たローズ様が安心したように顔を緩ませました。 「ご心配をかけてしまい申し訳ありません」 「何を言っているの。大変な思いをしたのはフローラちゃん、あなたよ。謝る必要はないわ。怪我をしたと聞いているわ。治るまでここでゆっくりと静養なさいね」 「過分なるご配慮をくださりありがとうございます」  私は頭を下げました。レイ様の元にいることをローズ様からも公認されてしまったわ。 「過分だなんて当たり前の事よ。今回の事件はこちらが責任を持って調査を行うわ。せめて事件が解決するまでは、王家でフローラちゃんを預かるわね。よいかしら? ブルーバーグ侯爵」 「はい。娘を守っていただけること、誠にありがたく存じます。お手数をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします」  両親は臣下の礼をとるとローズ様は満足そうに微笑みました。  両親の了解も取ってしまったのね。  これで簡単に帰るとは言えなくなってしまったわ。二、三日内にはと思っていたのだけれど。今回の件が早く解決することを祈るしかありません。 「それでは、わたくしは帰るわ。日を改めてお見舞いにくるわね」  ローズ様は席を立つと颯爽とドレスを翻して退出されました。分刻みのスケジュールの中、時間を捻出して会いに来て下さったのでしょう。
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