49 波乱のあとで

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 お父様とお母様はお互いに顔を見合わせました。 「先ずは怪我を治すことだな。それから、事件が解決すれば邸に帰ってこれるとは思うが」  苦渋の決断でもするかのような渋い表情で告げるお父様。  レイ様とローズ様がおっしゃったことですものね。 「それにまた狙われたりしたらと思うと気が気ではないし、あなたの身の安全を思えば王城の方が安心だわ。事件の真相はわかっていないのでしょう? だったら余計に王妃陛下のおっしゃる通りにした方がいいわ」  お父様もうんうんと頷いています。 「そうですよね」 「どうしたの? レイニー殿下の宮では何か問題でもあるの?」 「いえ、そういうわけではないのですが、我が家の方が落ち着くかなと思って」  問題というか、レイ様と同じ屋根の下だと思うとドキドキして落ち着かなくて、どう過ごせばいいのかわからないだけ。 「気持ちはわからないでもないけれど、王妃殿下のお言葉でもあるし、拒否することは難しいわね。早く帰ったとして、もしもあなたに何かあったとしたら、取り返しがつかないもの。それはフローラもよく考えて」 「それは、重々わかっています。ただ、ちょっと聞いただけです。ごめんなさい」  懇々と諭されるお母様を前に私は小さくなっていきました。なんだか幼い子が両親にわがままを言っているようだわ。
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