49 波乱のあとで

41/47
前へ
/774ページ
次へ
「ふう」  痛みも薄れてきたので、部屋の中を歩いてリハビリ中。だいぶ歩けるようになったわ。  テラスに出ると爽やかな風が吹いて気持ちがいい。新鮮な空気を吸って深呼吸を繰り返していると心の中が洗われていくようです。  ベンチに座って腰を落ち着けると外の景色を眺めました。  レイ様の宮に過ごすようになってから数日。少しずつ慣れてきましたが、毎朝レイ様の顔を見ることは不思議な感じで戸惑って照れくさくなってしまうこともしばしば。  そんな思いがあっても、レイ様に会えることは嬉しくて笑顔になります。  一緒にいる時間は幸せで手放せなくなってしまいました。 「ローラ」  テラスに顔を覗かせたレイ様から声がかかりました。ゆっくり振り返るとレイ様の穏やかな表情に私も自然と笑顔になります。 「レイ様」 「ディアナが来ているんだ。部屋の中でお茶をしないか?」 「ディアナが?」  頻繁に見舞いに訪れてくれる彼女。今日も来てくれたのね。怪我で療養すること以外は何もすることがなくて、退屈している私のために話し相手になってくれるディアナ。  私を抱きかかえる姿勢になったレイ様に 「レイ様。歩けますから」  あまり過保護にしてもらっては甘え癖がついてしまいます。ただでさえレイ様の腕の中は居心地がいいのですから。 「ディアナも待っているし、こっちの方が早い。それとも俺に抱っこされるのはイヤ?」  置いてきぼりにされた子犬のようなしょんぼりとした顔で腰をかがめたレイ様と目が合います。
/774ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3366人が本棚に入れています
本棚に追加