49 波乱のあとで

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 先生とお茶を飲みながら寛いでいると 「フローラ様にお礼を言わなければいけませんね」 「お礼ですか?」  何のことかわからずに首を傾げました。 「はい。サムシューズの事です。売り出して頂いたおかげでたくさんの収入を得ることができました」 「それは、先生のアイディアの賜物ですわ。本当に役立つ商品でしたから、私は少しばかり協力しただけです」  サムシューズはすごい売れ行きで生産が追いつかないほど。従業員も増やして増産しているところです。 「いえ、いえ。フローラ様が見出して下さったからこそです。そのおかげで治療院開業の夢に一歩近づきました」 「治療院ですか?」 「はい。二十四時間体制の治療院を作ることが私の長年の夢だったのです」   「二十四時間体制とは、素晴らしい夢ですね」 「夜中に診察をしてくれる医者は少ないですから、これをシステムとして組み込めば患者さんも医者を探して駆け込む必要はなくなるでしょう。病気や怪我は時間を選びませんからね」  確かにそうだわ。夜間に診てくれる医者は限られているものね。いつでも診察ができる治療院があればみんな安心だわ。そして、それを実行に移す先生も素晴らしい。 「実はそれについてはブルーバーグ侯爵様が協力して下さっているのです。それに賛同してくれる出資者も募って下さっています」 「まあ。お父様が?」  ビックリして目を丸くしました。お父様が協力者とは。
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