50 ビビアンside⑤

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 染み一つないすべすべの白い肌。つやつやでしっとりとした金髪。何色もの色を混ぜ合わせた凝ったエイル。ドレスにイヤリングなどの装飾品も最高級品。  自邸にいるというのに抜かりのなく着飾った姿。  鏡に映った完璧な容姿にそっと溜息を零す。  三男との縁談が持ち込まれた日からメイドが二名増えて、髪、肌など身体の手入れや化粧も今まで以上に入念になり、ドレスや装飾品などもさらに高級品になった。  お母様曰く『せっかく美人に生まれたのだから磨かない手はないわ。ビビアンはもっと美しくなれると思うわよ。輝くような美貌にトーマスさんもあなたを妻にできることが光栄だと思うでしょう。待ち遠しいわね』  げんなりとしてしまったけれど、それから、毎日毎日、身体を磨かれ手入れされて、おかげできれいになったとは思うわ。  食欲が落ちてしまった時だってダイエットしていると勘違いされて『体重を落とさなくても十分に魅力的なスタイルよ』なんてお母様に言われたこともあったわ。  別に三男のために食事制限をしたわけではなくて、精神的にまいっていたせい。そのおかげで益々メリハリが出て理想のスタイルになってしまったのは、皮肉な事よね。
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