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一人部屋で待つ時間が永遠にも感じてしまう。時計が時間を刻む音がやけに大きく聞こえる。
早くエマに会いたいのに。押しかけていくわけにもいかない。
エマにもわたくしにも心を落ち着かせる時間が必要なのかもしれない。
エマだって、一人王城に連れていかれて精神的にもショックを受けているだろうから、ケアも必要かもしれない。
よい方に考えてじっとその時が来るのを待った。
どのくらい経った頃だろうか。一時間はゆうに過ぎていたと思う。
「お嬢様、お待たせいたしました。旦那様がお呼びです」
やっと、ヨハンが部屋に訪れた。
エマに会えるのね。どんな言葉をかけようかしら?
お疲れさまとか、大変だったわねとか、ゆっくり休んでとか、つらつらと色々な労いの言葉を考えて、足取りも軽やかに案内されたお父様の書斎に入った。
通された書斎。お父様とお母様が並んで座っていた。
エマはどこかしら?
部屋を見回しても両親の他は誰もいない。
ヨハンがワゴンを引いて中に入ってくるとお茶の準備を始めた。
「お父様。エマはどこかしら?」
「まずは座りなさい」
弾んだ声で聞いたわたくしに諫めるようなお父様に促されて、向かいの席に腰を下ろした。
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