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「は、話って……」
お父様の目は深淵を覗いているように昏い。わたくしの心の深奥を探っているのか視線をまっすぐに向けている。疚しいことなど何もないはず。何を聞かれても大丈夫なはずよ。
「そうだ。確かめたいことがあって、話を聞きたいだけだよ。場合によっては、変わってくることもあるかもしれないからね」
「確かめる? ですか?」
そのくらいなら……わたくしの話がエマの手助けになるのなら。罪が少しでも軽くなるのなら。
「ああ」
大きく首を振り目を細めたお父様の優しい眼差しがわたくしの心を軽くした。強張った肩から力が抜けて表情が緩む。
エマは主人思いの心優しい人よ。やむにやまれぬ事情があったのかもしれないわ。いいえ、誰かに脅されていたのかもしれない。エマが犯罪を犯したなんて信じられなくて、無実の可能性を探ってしまう。
本人に会えるのが一番いいのに。そしたら、本当のことを話してくれるかもしれないわ。
「ビビアン。正直に話してほしい」
お父様が呼びかける。
エマのためになるのなら協力するわ。わたくしは笑みを湛えて頷いた。
「そなたは、いつ、レイニー殿下と恋仲になったのだ」
「……えっ、あ……」
なぜ、それを……
椅子からひっくり返りそうになるような衝撃で言葉を失った。
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