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 テンネル侯爵家は広大な土地を所有しており、金鉱や鉱山、風光明媚な観光地もあります。農業も盛んで、ローナの栽培もしています。国内でも有数の資産家なのです。  我がブルーバーグ侯爵家は土地こそ狭いですが、最高峰と呼ばれる技術者を抱えており、製鉄をはじめ様々な機器類を製造しています。それと医療にも力を入れ薬草や薬、健康食品などの開発もしています。最近は農産物にも注目して加工製品も作るようになりました。    それがテンネル家の目に留まったのです。観光地をさらに発展させるための商品を生み出すことと農産物の充実化。それらを実現させる代わりに研究資金を提供する。それを円滑に行使するために婚姻を結ぶ、はずでした。  エドガー様と初めて顔合わせをした日のこと。  両家の両親がいるうちは良かったのですが、二人きりになった時にはっきりと嫌いだと言われました。身内の前では見事に隠していらっしゃいましたから、時には錯覚してしまうこともありました。  婚約をしたからには少しは歩み寄らなければと思った時期もありました。もしかしたら、好きになってくれるかもと期待したこともありました。けれど、そんな日は来ませんでした。  いつの日からか、愛情なんて私には必要ない。研究が出来さえすればいいと思うようになったのです。
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