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風呂を済ませて自分にあてがわれた部屋に戻ったゆかりは、ベッドに腰掛けて化粧水と乳液を取り出したところで、はぁ、とため息をついた。
化粧水を手のひらに出して温めながら、ふとここに来るまでを思い返す。
尚人と暮らしたマンションを引き払って
気がつけば二年半年経っていた。
(半年は、粘ったんだけどな……)
部屋を解約する=尚人の死を受け入れる、みたいで本当に嫌だったし、何度も迷った。でも、仕方なかった。
二人で住んだあのマンションの家賃やら水道・光熱費、毎月出て行く食費・生活に関わる諸々をゆかり一人の収入で払い続けるのは無理だった。
ひっこし先を今のアパートに選んだのは、ベランダから二人の住んだマンションの部屋がちょうど見えるのに気付いたからだった。
毎日眺めていればすぐわかる。引き払った部屋に新しい住人が引っ越して来たのだって。一人だった住人がやがて二人になり、干されている洗濯物の量が増えたなってことも。
寂しさは感じなかった。
(あっちが真実。こっちは嘘……)
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