プロローグ

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プロローグ

 ウエストを後ろから、ぐっと引き絞られて「うっ」と息を詰めたものの、ゆかりは鏡に映る自分に頬をゆるめた。 「少し胸が開きすぎていません?」  ゆかりの後ろで一緒に仕上がりを確認していた、プランナーの小杉がさっと反応して背中側からちょいとつまんだドレスの襟ぐりを、針と糸を使って縫い留める。 「とりあえず今は応急処置でつめておきます。挙式当日までにはちゃんとお身体に合うようにお直ししておきますので。ネックレスとイヤリングはこちらでしたね」  きらきらと光るネックレスとイヤリングはゆかりならば普段決してつけないような大ぶりなもの。スワロフスキーの百合モチーフとパールが揺れるデザイン。ドレスをシンプルなものにしたのでアクセサリーは派手なくらいでちょうどいいよ、と尚人にアドバイスされて選んだもの。 ヘッドドレスとベールもつけてもらうと、いよいよ花嫁さんの出来上がりだ。 鏡の中で光り輝く自分に照れてしまう。 「うわ……お似合いです。新郎さまの選ばれたネックとイヤリングもバッチリですね」  ちょうど自分でもそう思っていた。自惚れているみたいで恥ずかしいけれど、
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