141人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
第5話
天使の赤ちゃんは翼をリズミカルに動かして海のなかをすいすい進んで行きます。水が澄みわたっているのでまるで空中を泳いでいるようです。
湾を横切って砂浜に着きました。羽をプルプルして水をきります。水しぶきに太陽の光があたって、赤ちゃんをかこむようにまーるい虹がかかります。
片足で立ってトントンして耳に入った水を抜きました。
そこは火山が作った小さな島でした。島の中央で火山が噴煙をあげています。時どきドドーンと噴火を起こします。
地鳴りがしてグラグラと島が揺れ動くほどです。砂浜にまで噴石がバラバラ落ちてきました。
身体より大きな噴石がドスンと当たって、赤ちゃんは後ろにでんぐり返ってコロコロと砂浜を転がりました。
でも天使の赤ちゃんはへっちゃらです。赤く焼けた噴石が当たっても傷ひとつありません。
両手をついて立ち上がり翼をパタパタさせると身体が浮きあがりました。
火山の近くまで飛んで上昇気流に乗ると、ふんわり翼を広げたまま上へ上へのぼってゆきます。フワフワと気持ちよく空を漂っています。
天使の赤ちゃんは空を飛べるのです。天使だから当然です。
最初のコメントを投稿しよう!