bull shit

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それは簡単に見つかった、今まで乗っていたリフトの上にあったのだ 隆はラッシングベルトを2本、肩越しから前脚を通してたすき掛けにした すると隆は駆け足で荷物用のエレベーター前に行きリーチリフトを持ってくると リフト同士を向かい合わせに停めた ラッシングベルトのフックにタイイングベルトを掛けるとその逆の末端を リーチリフト全面へ掛けた、運転席に立つとゆっくりベルトが張るように後進する 大きく深呼吸をすると隆は一言、通じるわけも無いが声を掛ける 「ちょっと痛いよ」 そう言うと一気にリーチリフトを後進させた、一瞬タイヤが空転して左右に揺れる しかし隆は落ち着いてハンドル操作で安定させる ゆっくりであるがリーチリフトは後進し始め、その動物が爪から抜け始めると 同時に平静を保っていたが最後の断末魔が倉庫内に響く、怖気付いてリフトを 停めそうになるがここで停めては苦痛が続くだけと目をつぶって 一気に手元のレバーを引く、ポンッと音がしそうな感じで動物が爪から抜けると 倉庫の床で軽くバウンドした 隆はリフトから飛び降りると駆け寄った、ここで関係ない話だがリーチリフトは 足元に安全装置がありそれを踏んでる間だけ動くことができるシステム 隆が飛び降りたという事はリフトはその場で急停止し惰力で何処かにぶつかる事は なかった 傷口からは多少出血していたが、予想してた程の量ではなかった既に大半は出血 していたのだろうか隆は気休めであろうがウェスを傷口にあててやると ガムテープで貼り付けてやった 相変わらず外の怪物共はシャッターに挑んでいたが、ここは石と木でできた城では 無いのだ、お前らが力任せに挑もうとも落城することはない 隆は動物の横に座り込んでお腹の辺りを優しくさすってやった するとまた『グルグルグルゥ』と鼻を鳴らした、猫が喉を鳴らすあれと似てるなぁ と思いつつ続けた 5分ほどなでていると鼻を鳴らさなくなった、隆にはわかっていた 悲しい、そういう訳ではなかったが涙が流れた、こいつは産まれて何か楽しい事 があったのだろうか?彼女やこいつがいた所はどんなところだったのだろうか? 戦乱が続くような所で成長するとすぐ戦場を駆け回ってきたのだろうか? 親との思い出などはあったのだろうか?隆は上から見下すような感じもするが 『憐れみ』という感情にすぐ心が揺さぶられる 逆に隆の親が死んだ時などは悲しくも涙も出なかった、何をしていたのか 知らないが自分勝手に小さな隆を祖母に預けると次にあった時はこのザマだ 『憐れみ』の欠片も感じない、当然涙もそこにはなかった 隆はブルーシートを引っ張り出してくると、その動物にかけてやった ーーーーガッシャ、ガンッーーーー 背後であがった物音に隆の血の気が引いた
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