bull shit

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隆は携帯を取り出すと警察に通報をした ーーーープップップップッ・・・ツーツーツー・・・ーーーー 相変わらず倉庫内を歩き回り剣を探す彼女を余所に隆は警察への通報を 繰り返していたがなぜか何度掛けてもいっこうにつながる気配はなかった 「110を間違えるわけもないが・・・」 そう言いながらもう一度掛けてみるも繋がる事はなかった、何かあったのか 隆の中で、ふつふつとある疑念が浮かび始めた、通話を切りネットに繋いでみた 携帯の画面は切り替わり白いバックにトップに登録された検索サイトが 徐々に映し出されてゆく、しかし普段とは違い異常に速度が遅く表示が 半分まで来たところで固まった、通信制限にでも引っかかったのかと 隆は思ったがまだ月の半分も来ていないのにそれは無い、隆の中で 疑念が確信へ変わってゆく、隆は歩き回る彼女の手を引いた、彼女は 何をすると言わんばかりに手を振りほどくと再度剣を探し出した 彼女をこの場においていても外の連中が進入する事はないだろうが、 もし目を離せば何もわからない彼女だ何かの弾みでシャッターを開けてしまう 恐れがある、そうなれば丸腰の彼女は無論、上階へ上がろうと思っている 隆であったがその自分の身も危険に晒すことになる それだけは避けたかったが隆は自分の中の確信を早く確実な物にしたかった 隆は彼女へ歩み寄ると肩を叩き自分へ向かせるとダメ元、ジェスチャーで 別の所を探してみようと試してみた 彼女の空の鞘を指さすと自分で剣を抜く様を見せ、次にその剣を指さして 続けて上を指さしてみた、こんなジェスチャーゲームは幼稚園のご遊戯会以来で 同じ日本人でも通じるのか、しかも海外どころか違う世界の住人なら尚更 ジェスチャーを繰り返し見せていたが重ねる度に自信がなくなっていった 彼女は最初、訝しげな表情で隆を眺めては又、探し始めるを繰り返していたが 隆のしつこさに諦めたのか理解したのか、隆と同じ様に空の鞘から剣を抜く 真似をすると上にあるのか?とやはり意味のわからない言葉と共にジェスチャーを 返してきた、隆はそれを見ると頷いて上階を指すように合図をして 彼女の手を引きエレベーターホールへと連れて行った 倉庫を抜けエレベーターホールに出ると左手には玄関ホールがある そしてその玄関ホール越しには何時間ぶりにも感じる懐かしいような いつもの景色、しかしそこに居たのは慌ただしく働く作業着を着た仲間ではなく 野外灯に照らされボーガンを持つ小さな怪物共だった、早速隆達に気付くと バカのひとつ覚えのように弓を引いてきた しかし、この三共倉庫は玄関ドアこそガラス張りではあるが中間膜入複層ガラスで 弓矢ごときで貫通どころか割ることすら困難、しかもその外部は重量パイプ シャッターで閉ざされておりガラスが割れたところで侵入は不可能、ガス切断機 でもあるなら話は別だが見たところボーガンに奇妙な形をした剣くらいで その程度では倉庫同様に侵入する事はできず、奴らにとってこの三共倉庫は 難攻不落の城であることに代わりはなかった 隆は手を振り中指を立ててやった、しきりに何か言ってるみたいだが多分、隆達が いるとでも仲間に言っているのであろう、直ぐに屈強な例のヤバめな連中も現れた こいつらはこいつらで力任せに剣を打ち下ろすしか芸がないようでパイプ シャッターをガンガンと打ち付けていた、しばらく隆はその様子を見ていたが 彼女は敵を目前にして丸腰の自分に対し情けなさなのか焦りなのか、この場を 離れたがってるようだったので隆はエレベーターの呼出ボタンを押すと 上階へ向かった、しかしここで問題が起こる、エレベーターが1階に到着し乗り 込もうとした隆達だったが彼女がそれを拒み始めたのだ、考えてみれば当然 である、見知らぬ世界で見知らぬ男と共にお世辞にも広いとは言えない 密室に入れられようとしているのだ現実社会でも深夜に見知らぬ作業着の男と共に エレベーターに乗込むのは女性なら当然の行動であろう 彼女においては幽閉されるとでも思ったのだろうか執拗に拒んでいた 隆はエレベーターを諦めると、その先にある階段室に向かった
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