bull shit

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階段室内はカシャカシャカシャっと言う足音が反響して隆は少し可笑しくなった 普段、解放はされているが深夜帯に事務棟に入る事はほぼ無い、急な連絡で 事務室にある書類をファックスするくらいだった、今から行く8階などは この3年間で急な欠員が出た時、続けて日勤まで働いた時だけである 8階にはカフェテリアがあり日勤の時間帯のみの営業であるが周りにコンビニも ましてや食事をとる場所のない三共倉庫で働く面々の食を支えていた 8階に近付くとあの独特ないい香りがしてくると隆は缶コーヒー以外何も口に していなかった事に今更気付いた、仕方の無い事であったがやる事をやり終えたら 何か口にできないか考えていた 隣を見ると流石にこの階まで来るとその甲冑姿は女性にはやはり辛いのか 額にはうっすらと汗が浮かんでいた、隆の想像では異世界の騎士などは この8階まで吹抜けの階段室なら手摺をトントンっと跳ね上がると8階で 待ち構えてくれてるものだったが、甲冑で今は見えないその脚は何ら我々と 変わらず、そこから伸びている四肢はモデルのように長い この様な体型でそんな運動性能が発揮できるのだろうか、やはりフィクション の世界の話なんだろう、もしノンフィクションにそんな存在の人がいるのならば 何時間眺めても飽きがこないこの美形女性の体型は胴回りは棒のように細く それに反して太腿周りは異様な筋肉で盛り上がり、効果的に飛び跳ねやすくなる為 膝の関節は逆に曲がるようになっているに違いないだろうと隆は気持ちの悪い そんな彼女を想像して一応、膝の曲がり方を横目で観察した 8階に到着し階段室を抜けると一面ガラス張りの展望談話室になっている、 先程より霧はさらに濃くなり有視界は数メートルと言った具合で港大橋とコスモタワー が見える折角の南港の夜景は全く見えず代わりに室内の明かりが霧を白く照らしていた カフェテリアの電灯を点けるとホワイトを基調とし観葉植物の並べられた 『THE カフェテリア』がそこに現れた、隆は彼女を残し奥の天井に掛るモニターの 元へ急いだ、壁に掛るリモコンを手にするとモニターの電源を入れた
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