bull shit

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エレベーターの扉が開くと駆け足で事務室にある構内監視カメラのモニター室に 向かった、モニター室内には3つのモニターが壁に掛かっており隆はその前にある キーボードを操作して構内各所を見回した カメラは赤外線カメラで霧でも問題なく構内を確認できた、玄関前では相変わらず 怪物共が無駄な抵抗を繰り返していた、モニターを切りかえ詰所辺りを確認するが 剣らしきものは見当たらない、もしかすると連中が彼女の剣を鹵獲(ろかく)してるかも しれないともう一度玄関前を確認する、ズーム機能があれば良いのだが カメラ視点は固定されておりハッキリとした確証は出来ないが手にしてる物は ボーガンと奇妙な剣で彼女の剣がどういう物か分からなかったがあの鞘の形から してよく目にする両刃の剣であろう、しかし玄関前の連中にそれを手にする者は いなかった、彼女がリフトと接触してから剣を紛失したとすればリフトが移動した 範囲となるA棟とB棟の半分の間に落ちているはず、もしリフトと接触する前に 紛失したとなれば検討もつかないが霧の中の金属音はきっとしのぎを削る音だった のだろう、ならばと隆はモニターを切り替える、モニターには懐かしい いや数時間前にいたあの場所 隆は別件で血の気が引いた、そこはカメラの死角と言い伝えられて来たあの場所 だった 先程まで命を落としたかもしれない恐怖を繰り返してきた、それに比べれば別に 命を奪われる事はないのだがこれはこれで現実的恐怖だった しばらく身体を強ばらせていたが気を取り直してモニターを切り替えると隆は又、 身を強ばらせた、そこに映し出されたものはリフトの後ろから迫っていた 巨大なトカゲが頭を切り落とされて横たわっていた 周りには血の池と言うに相応しい程に血が広がり、その闘いで敗れたであろう 怪物達も数名その池に浮かんでいた 多分、これをやってのけたのは直感で恐怖を感じたあの連中だろう、そう考えると この三共倉庫もいつまでも安全ではないのではないかと落ち着いていた恐怖心が ジワジワと再び込み上げてくるのがわかった ここは日本で銃などは勿論、携帯は許可されていない、ナイフ等を所持する者も いたがファッションアイテムであり護身で携帯する者など稀であった ではこう言う迫り来る脅威に対してどうすれば良いのか?十中八九、警察へ連絡 するのが正解であろう、しかしその頼みの綱も断ち切られている 逃げる、そうしたいのは山々だが何処へ逃げればいいのだ、市内あちらこちらで 同じ状況だ、落ち着かない気持ちは更に増し貧乏揺すりは残像が見えそうな 程に揺れた、モニターの前で頭を抱えうなだれる隆は又、妄想の世界へ飛ぶ 『ヒーローが現れると・・・魔道士が究極魔法で・・・王家騎士団が・・・』 『騎士?』 隆はモニターを切り替えた、そうだ自分の傍には騎士が居る剣さへあれば もしかしたら、男が女性を頼るなど情けない気持ちもするがそんな事は 言ってられない藁をも掴むだ、こういう時は男も女もないとクズに成り下がり 彼女の剣を探した 「あった!」 隆は大声を上げた、丁度A棟B棟の間のスロープ、隆達が登ってきたあのスロープ 上り口の手摺の外側に落ちていた、連中は玄関攻略に集中している今なら裏階段を 降りて気付かれずに回収できるはずだ、彼女に剣の場所を教えて外へ出たら 扉を閉ざし後は全て彼女に託す、それも考えたがそこまでクズには堕ちれない 隆がいた、もう一度モニターをくまなく確認して怪物共の位置を確認すると行動に 移った
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