bull shit

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色々、彼女と話してみたあの外にいる連中、トカゲの怪獣、国の名前 逆に彼女は室内にある物を色々指さし聞いてきた、単語のみの会話だが 女の子とこんなに長時間楽しく会話を楽しんだのはいつぶりだろうか いつぶりとは過去に経験がある者の話で隆にはそんな記憶は一度もなかった だから正確に言うと生まれて初めてだった 隆は彼女に年齢を聞いてみたくなった、しかし今までお互いに交わしてきた 言葉はいわば一方通行で正解の必要はなかった、でも年齢となれば彼女の言葉の 正解を聞かなくてはならない、それは不可能だった 隆は今まで通りジェスチャーを混じえながらとは思ったが『年齢』のジェスチャー とはどういう物かと悩んだが何も浮かばない、困った隆は急にタバコを吸いたく なり彼女を残し厨房に向かった、楽しく会話を楽しんでた隆が急に自分の前から どこかへ行ってしまったのだ異世界でもそれは心配になるようで彼女は隆の後を 着いてきた 厨房に着いたが流石に彼女の前でタバコを吸うのは気が引けた、と言うか三共倉庫 事務棟内で喫煙したのは歴史上、隆が初めてでそれを気にするべきだが厨房を選ん だのは煙反応式の報知器が反応してはまずいという考慮で彼女の前で吸わないのは 喫煙者としての最低限のマナーだった、どの道この状況だ倉庫には謎の生物の亡骸 外にはデカい首なしトカゲ、怪物の死体もゴロゴロあるだろう、だったら喫煙程度 許されるだろう、と言うか気にもしてなかったのが正直なところだった とりあえず彼女を厨房の外に押し出す、なぜだと抵抗するが最後は諦め出ていった 彼女は怒ったのだろうか、タバコの煙を換気扇に吹きかけ考える、喫煙くらい少し 我慢してれば友好な関係を築き始めていたしもしかしたら、隆はフッと笑いバカな 妄想を紫煙と共に換気扇に吹き込んだ ーーーーガッシャーン、バリバリバリーーーー 急にカフェテリアから激しくガラスが割れる音が響いた、隆はタバコを落とした 濡れた床でジュッという音と共にタバコは消えた、それはスローモーションの ようで不思議な時間だった 「グォォォォーーーー!!!」 その雄叫びで時間が戻る、慌てて顔を上げるとカフェテリアの窓から、あの怪物の 中でも隆がヤバいと思った連中が2人いた、2匹と言うべきかそれはどちらでも 良かった、隆は情けない事に厨房のカウンターの下に隠れた なぜだ、ここは8階だぞ!そう思う隆、しかしこの鉄壁の三共倉庫もこの階だけは リラクゼーション重視の総ガラス張りで脆弱、しかも灯りを明々と灯していたのだ ここに居ますと教えてるようなものだったが誰が生身で外壁を伝って8階まで 上がってこれるとは考えるだろうか、だからここはガラス張りなんだよ! そんな不毛な考えが頭をぐるぐる巡る、耳を澄ますと特に戦ってるような音は 聞こえてこない、代わりに何か会話が聞こえる内容は無論わからなかったが 顔を出し見る勇気は微塵もなかった、ここで隆のネガティブシンキングの 導火線に火がつく 『実は彼女と怪物は仲間じゃないのか?そうか彼女はお姫様か何かで・・・』 『えっ、じゃあ彼女を連れてここにたて籠っていた俺は・・・』 恐怖が隆の背筋を凍りつかせる 『今頃、彼女は奴らに俺の居場所を・・・』 ーーーーシャッ、ガシャッガシャッ、キンッ!ガラガラガラッーーーー 隆の妄想の一部を打ち消してくれるように戦闘が始まった、しかし隆にとっては 絶望が最悪になった程度であまり状況は変わらなかったが先程とは違い彼女への 思いが隆を動かした、厨房には包丁は各種あるが空き巣が入ってきたとは訳が違う 空き巣でも無理なのだが、ではどうする隆は考えた なにかのマンガで読んだ『粉塵爆発』ここに小麦粉はあるが2キロ程度では話に ならないし2人も吹き飛ぶのはゴメンだった、意味がない 走馬灯、まだその時ではなかったが突然、脳裏に塚口さんの言ったことを ふと思い出した、塚口さんと言うのは元高校教師で化学の教師だった キャッチコピーは『ハメる前にハメられた』だった 説明もはばかるぐらいのクズな発言だったが、クズの間ではすこぶるキャッチー だった、まぁそれはそれとして塚口さんが言うには 『4階に俺が1時間いれば爆弾を作れる』 そう言っていたのだ、そうだここ4階倉庫には化学薬品が保管されている 4階に行けば爆弾・・・しかし隆は化学教師ではない、配合を教わった訳でもない ただ一つだけ塚口さんから聞いていた事があったのだ、それが有効かは定かでは ないが隆の出来ることはこれくらいしか浮かばなかった、とりあえず4階に 行かなくては
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