bull shit

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隆は興奮状態であったが少しでも早く8階を離れたかった、エレベーターを避け 階段で7階へ向かった、連絡通路を抜け4階倉庫へ入ると先程灯りをつけたまま 消し忘れており明るいままだった一応に扉を閉めたが内部扉に鍵はなく連中が 来ればなんの問題なくここへ入ってこれた、勿論ドアノブを回して扉を開ける という行為を知っている前提であったが 隆は端末を操作するとラック棚が動き出す、棚はスペースを有効に使う為普段は 人の入る隙間もない程に棚と棚が接近しているが必要に応じてリフトが入るまで 間が開き棚にある物を取り出せるようになっている、棚の略図が描かれたモニター の『F』を押す、ここに隆の期待を寄せる物があった 棚は電気モーターで車輪を動かし移動する、ウーンという音が静かな倉庫に響く 棚はM列まであった、操作を開始した時はAB列とJK列に隙間があり程なくF列の 棚にリフトが入れるスペースができた隆はリーチリフトを動かすと棚の間に 消えていった、彼女はそれを終始呆然と見ていた一連の光景を受け入れる程まだ この世界に慣れてはなかったが隆が触っていた端末に興味を抱き近付くと悪戯に モニターを指で押してみた、棚には安全装置があり中にリフトや人が入ってる時は 棚は移動しないようになっていて隆が棚に潰されることはなかった 程なく青色のプラスチック製タンクの載るパレットを移動通路まで持ってきた 続けて作業に移りたかったが端末は今、彼女が虜だった、隆は彼女を横に押し 退けようとするが子供のように抵抗して必死に手を伸ばしモニター画面を触ろうと していた「さっきの君はどうした!」と言いたかったがひきつる笑顔で彼女を 強引にどけると今度は『L』を押す、また彼女が手を出してくるが今邪魔をされると 別の棚が動いてしまう隆は彼女を連れてリフトへ押し込んだ、リーチリフトの 運転は立ってするのだが2人乗りの設計はされていない、普通の人2人でも狭い のだが甲冑を着た人物なら尚更だった運転席は彼女で一杯、隆が乗り込むスペース などほとんどなく仕方なく彼女にブレーキペダルを踏ませると彼女の背後から 包み込むようにほとんど身を乗り出す形で運転した、彼女は思いのほかリフトに 興味を持ち残りの3本のレバーをいじって楽しんでいた、本当に戦闘時以外は子供 だった、しかも走行風に汗と香水なのかそれが混じりあったなんとも言えない 微香が隆の鼻をくすぐり、もう全てがどうでも良くなりそうだった リフトがL列に届く頃には棚の前には通路が出来上がり隆は器用にハンドルを回すと 通路に入り込んだ、ここからは流石にこの体勢は無理だった走行レバーをリバース に倒すとブレーキペダルは踏まれたままであったがリフトは惰性で進むことなく 止まった、隆は彼女をリフトから降ろすと奥に入って行き下段にある蒸留水の入る トンタンクを引っ張り出した、これで準備は整った隆はトンタンクをリフトで 抱えたまま先程棚から下ろしたパレットもリフトですくうと荷物用エレベーターに 載せ彼女も連れてくると1階の行き先ボタンを押した、荷物用エレベーターは 奥行きこそ3m程だが幅は5m以上もある巨大な籠で彼女も警戒することなく 乗ってくれた
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